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 ▼【新刊読み物】『13の理由』  NON(WYN-1019) 09/4/14(火) 13:42
   ┗Re:【新刊読み物】『13の理由』  さかな wyn-0021 09/4/15(水) 11:07
      ┗Re:【新刊読み物】『13の理由』  NON(WYN-1019) 09/4/20(月) 13:01

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 ■題名 : 【新刊読み物】『13の理由』
 ■名前 : NON(WYN-1019)
 ■日付 : 09/4/14(火) 13:42
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   『13の理由』
ジェイ・アッシャー作/武富博子訳/講談社/2009,3

 読了後、ふらふらと引き出しの前に歩いていった。自分でもなぜかわからず、一度引き返すが、別のことをしようとしてやっと思い出した。年賀状の束をとろうとしたのだった。読みながらふっと、ちかごろ音沙汰のない友人に、先日とったタンポポの写真を送りたいと思った。それで、長らく病を患うその友人の、最新メールアドレスが知りたくなったのだ。

 敵の名を遺書に記す行為は卑劣で、その行為への憤りと、そこまでの判断ができなくなっていた本人へのやるせなさを感じる。マスコミをにぎわすなかでも、特に不快な事件といえる。

 この作品の主人公、ハンナは自殺した。訴えたいことをテープに残し、関係者に送りつけた後で。生きているときにいえなかった言葉をそんな形で相手に伝える。彼女の行為に動揺し、最初はどうしても共感できなかった。その思いはもやもやと心地悪くふくらんだ。読書を中断して本をテーブルに置くと、こちらを見つめる表紙の目にぞくっとさせられた。

 ところがラストが近づくにつれ、じょじょにそれが誤解だったと気付く。彼女はエゴイストではない。どうやらアメリカでのベストセラー現象を支える読者たちは、単なる興味で本書を手に取るわけではないようだ。訳者あとがきに書いてある、作者の配慮を含めた、訳者の本作に対する信頼がすとんと腑に落ちた。そして日本でも、彼女と同じく穴の中でうずくまるティーンに読んでもらわなくちゃ、と強く思った。

NON

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:【新刊読み物】『13の理由』  ■名前 : さかな wyn-0021  ■日付 : 09/4/15(水) 11:07  -------------------------------------------------------------------------
   NONさん


新聞で報道される、自死した子どもが遺した怨嗟の声にふれるとき、どうにもやるせない気持ちになりますね。復讐としてはそれ以外のものはないだろうと。けれど、復讐はしている者をも滅ぼしていて、やはり出口のみえない暗いものしか受け取れない。

『13の理由』は読んでいる間、怖かった。でも、読んでいくとハンナを少しずつ理解できてきて、衝動的に選んだ道ではない、だからこその重みをじわじわと感じました。つらいねえ。この年代の危うさは、通り“過ぎた”からこそ言えるつらさだけれど。

この本を必要としているティーンが見つけてくれますように。

ナイーブなストーリーを繊細に心をつくして訳された本書に感謝。

さかな

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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:【新刊読み物】『13の理由』  ■名前 : NON(WYN-1019)  ■日付 : 09/4/20(月) 13:01  -------------------------------------------------------------------------
   さかなさん

怨みというどす黒い闇にとらわれてしまうと抜けだせなくなるのでしょう。許すということを知ると、人はだいぶ生きやすくなると思います。

ハンナの言葉には許すという気持ちがたくさん表現されています。それでも彼女は死んでしまった。まるで、自らが生贄になるように。それは小説の中だからこそありえたことなのかもしれないなと思うと、ハンナが13人に訴え求めていることを、作者自身自分にできることで実行した結果がこの作品なのかなと思いました。と遠回りにそこに行きつきましたが、それって作者としてはあたりまえの動機ですね。(^_^;)

この年代の危うさ。そうですね。もう少ししたらだいぶ外皮が厚くなるのだけれど、この脆弱な時期をなんとか通りすぎてほしい。この年代の生身の子たちに触れるときには、いつもどきどきしている気がします。

NON

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