Page 415 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】小鳥たちが見たもの NON(WYN-1019) 07/2/13(火) 22:15 ┣Re:【新刊読み物】小鳥たちが見たもの えみりい(WYN-1041) 07/2/13(火) 22:32 ┃ ┗Re:【新刊読み物】小鳥たちが見たもの NON(WYN-1019) 07/2/13(火) 22:52 ┗Re:【新刊読み物】小鳥たちが見たもの 田中 07/2/27(火) 19:03 ┗Re:【新刊読み物】小鳥たちが見たもの NON(WYN-1019) 07/3/2(金) 13:36 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】小鳥たちが見たもの ■名前 : NON(WYN-1019) ■日付 : 07/2/13(火) 22:15 -------------------------------------------------------------------------
『小鳥たちが見たもの』ソーニャ・ハートネット著/金原瑞人、田中亜希子訳/河出書房新社 1977年、オーストラリアのある町で三人のきょうだいが忽然と消えた。 同じ年、ニュージーランドの沖合いで、謎の海の怪物の死体を日本の漁船がひきあげた。そのニュースに心奪われたのは、9歳の少年エイドリアン。祖母と叔父と暮らすエイドリアンは、ある理由で母といっしょに暮らせない。学校では友達がたった一人いるだけ。それでエイドリアンには十分だった。だのに……。 ある日、近所に三人きょうだいが越してきた。消えたきょうだいと同じ女の子ふたりと男の子ひとり。一番上の女の子、ニコールは、エイドリアンに寄ってきたと思うと突き放す。距離のとり方がわからなくて途方にくれるエイドリアンだが、やがてふたりは親しくなっていく。そして……。 せつない。 みんな、悪意があるわけではないのに。それでもベクトルがうまく噛みあわなくて。頼りたい人はひいていき、愛されているのに冷たくて、仲良くなりたいのに噛みついて、さみしいのに孤独を選ぶ。するりするりとみんながさまよっているから、落とし穴にはまってしまうのではないのか。 三人の子どもの失踪で『ノルウェーの森』のぽっかりあいた井戸の話を思い出した。 主人公は9歳の少年。でも、描く作者は大人。そのへんの差が微妙な不思議さを生み出しているのだろうか。エイドリアンの気持ちは薄い皮をかぶった感触で伝わってくる。それでもピントはまったくずれていない。主人公のひとつひとつの傷の痛みがリアルに伝わってくる。 もうひとつ、不思議感覚を生むのは作者特有の詩的な表現。ひとつ、気に入った部分を引用する。 「風が骨にしみるようだった。たまにクリーム色の生気のない太陽が出ることもあったが、たいていの日は冷えこんだ」 作者の表現も、訳もすばらしい。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)@58x158x128x90.ap58.ftth.ucom.ne.jp> |
NONさん あー、これ今年最初に買った本なのにまだ読めてない〜。早く読みたい〜。 <ZonchBrowserPro@nttkyo334222.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp> |
えみりいさん どこかゆらゆらと漂うような作品なので、読む人によって感想も本当に様々だとおもいます。ぜひ、お読みになって感想をきかせてください。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)@58x158x128x90.ap58.ftth.ucom.ne.jp> |
NONさん わ〜、すばらしいレビューをありがとうございます。 少し前にアップしてくださっていたのですね。今ごろ気づきました。スミマセン。 おっしゃるとおり、せつない話だと思います。そのせつなさを含めて、この作品を気に入ってくださったようで、かかわった者として、とてもうれしいです! わたしもこの作品、大好きなんです。 えみりいさん、お時間ができて、ぱらっと見ていただけた際には、ぜひご感想をお聞かせくださいませ。 田中 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows 98; Win 9x 4.90)@nttkyo678004.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp> |
田中さん レビューといっていただくと背中がこそばいです。まとめようとしましたが、とても難しくてレビューには仕上がりませんでした。 こういう作品は何度も読んで、セロファンを重ねるようにして色濃い印象を心に残さないと、きちんとした形の感想がかけそうにありません。一言だと「はかなくて美しい物語」と紋切り型になってしまいます。 とにかく、みなさんに読んでいただきたいです。美しいですよ。 <Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1)@58x158x128x90.ap58.ftth.ucom.ne.jp> |