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 ▼『水曜日のうそ』(講談社)  おちゃわん 07/2/21(水) 22:44

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 ■題名 : 『水曜日のうそ』(講談社)
 ■名前 : おちゃわん
 ■日付 : 07/2/21(水) 22:44
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   みなさま

去年の秋、読んで、ぐっときてしまった忘れられない一冊です。
独りしんみりと、家族のことを考えてしまいました。

『水曜日のうそ』(C.グルニエ 作/河野万里子 訳/ 講談社/ 2006.9)

語り手は15歳のイザベルです。イザベルのおじいちゃんは毎週水曜日の午後、自分の息子の家であるイザベルのうちにやってきます。それは家族の決まりごと。毎週毎週、決まった時間に、やってきて、昔の話をしていくおじいちゃん。とここまで書くと、暖かいほっとする話のようですが、イザベルの両親はまさに人生のただ中にいて、仕事も人生も今が勝負の時を生きています。おじいちゃんの昔語りに付き合う心の余裕が少したりない。父親と息子という、いささかギクシャクした関係が、危うい綱渡りのような緊張感をもって語られます。そうして、父親に念願のチャンスが訪れ、そのために転居しなくてはならなくなったとき、一家の主である父親の決断は、高齢のおじいちゃんのことを考えて事実を知らせない。しかし毎週、水曜日のその時間だけ、だれかが元の家に戻ってくるというものでした。すべては計画通りとはいかず、様々な予定にないことが加わっていくのですが・・・。

自分の老いた親のことを思い、とても切なくなってしまいました。あまりにも不器用な父親にものすごく腹が立ちました。(自分のことは棚にあげて・・・)思春期を生きるイザベルとおじいちゃんの交流がステキです。イザベルとボーイフレンドとの付き合いもおじいちゃんの存在により、ぐっと深みのあるものになっていくのが救いです。表紙も一つ一つの章だての文字もいわゆる鏡文字になっています。あたかも親と子が一枚のガラスをはさんで向き合っているよう。(考えすぎか・・・)

おちゃわん

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