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 ▼【新刊読み物】希望(ホープ)のいる町  ちゃぴ(WYN-1026) 10/4/7(水) 5:30

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 ■題名 : 【新刊読み物】希望(ホープ)のいる町
 ■名前 : ちゃぴ(WYN-1026)
 ■日付 : 10/4/7(水) 5:30
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   みなさま

 金原瑞人選オールタイム・ベストYA2作目は、『靴を売るシンデレラ』(灰島かり訳 小学館)を書いたジョーン・バウアーの2001年ニューベリー賞オナー作品です。

『希望(ホープ)のいる町』
"Hope Was Here"

ジョーン・バウアー(Joan Bauer)作
金原瑞人選
中田香訳
作品社

ISBN 978-4-86182-278-0
定価 本体1,800円+税

 あたしはホープ。母さんは、父親のわからないあたしを産み、アディおばさんに預けて出ていった。ホープというのは、自分で法的に変えた名前だ。その名前にふさわしく、あたしは、前を向いて明るく生きている。
 アディおばさんは腕のいいコックだが、なぜか働くレストランが次々つぶれ、あたしは引っ越しと転校を繰り返して育った。
 高校2年の終わりごろ、ブルックリンからウィスコンシン州の小さな町へ移った。町ではちょうど町長選がはじまったところだった。あたしは、おばさんが住みこみで働くレストランのウェイトレスの仕事、町長選の選挙運動に大奮闘する。

 魅力的なヒロインだ。まだ十代なのに、ウェイトレスとして、プロ意識をもち、大人顔負けの仕事ができる。選挙運動でも、人の話をよく聞き、自分の思いを自分の言葉で話すことができる。素直で率直だ。母さんに置いていかれた心の傷は深くて今もうずくし、悲しい思いもたくさんしている。でも、いつまでもぐじぐじいわず、若々しいまっすぐな目で現実を見つめてがんばる。そのエネルギッシュな姿は見ていて気持ちがいい。

 ホープを支えるアディおばさんも素敵だ。ホープの母親を決して悪くいわず、ホープが大切な母さんと思えるように心を配っている。おばさんの賢い言葉と愛情があってこそ、ホープはまっすぐに育ったのだろう。
 また、レストランのオーナーは、ホープに、今の現実を誠実に生きることの大切さを身をもって教える。

 ホープやこうした人たちを見ていると、生きていれば辛いことや不条理なことはいっぱいあるけれど、心配しなくても大丈夫。現実のなかにきっと希望はみつかる。そこで最善を尽くせばいい、という気がしてくる。

 さて、この物語で興味深いのは、高校生が選挙運動に参加することだ。高校に「自由な政治活動をめざす生徒連合」という部活まであって、選挙運動の中心になって奔走する。若い情熱が人々の心を動かしていく様子はたのもしい。日本とは事情が違うだろうが、社会に目を向ける彼らが、日本の高校生よりずいぶん大人に見える。

 ほかにも、レストランで働く人たちのこと、アディおばさんのつくる料理のことなど、読みどころがぎっしり詰まっている。心に響く言葉もあちこちにある。読み返すたびになにか発見し、励まされる本になるだろう。


☆メープルストリート紹介ページ
ttp://www.litrans.net/maplestreet/p/sakuhin/index.htm

☆作品社HP
ttps://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/
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ちゃぴ(WYN-1026)


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