Page 927 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】希望(ホープ)のいる町 ちゃぴ(WYN-1026) 10/4/7(水) 5:30 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】希望(ホープ)のいる町 ■名前 : ちゃぴ(WYN-1026) ■日付 : 10/4/7(水) 5:30 -------------------------------------------------------------------------
みなさま 金原瑞人選オールタイム・ベストYA2作目は、『靴を売るシンデレラ』(灰島かり訳 小学館)を書いたジョーン・バウアーの2001年ニューベリー賞オナー作品です。 『希望(ホープ)のいる町』 "Hope Was Here" ジョーン・バウアー(Joan Bauer)作 金原瑞人選 中田香訳 作品社 ISBN 978-4-86182-278-0 定価 本体1,800円+税 あたしはホープ。母さんは、父親のわからないあたしを産み、アディおばさんに預けて出ていった。ホープというのは、自分で法的に変えた名前だ。その名前にふさわしく、あたしは、前を向いて明るく生きている。 アディおばさんは腕のいいコックだが、なぜか働くレストランが次々つぶれ、あたしは引っ越しと転校を繰り返して育った。 高校2年の終わりごろ、ブルックリンからウィスコンシン州の小さな町へ移った。町ではちょうど町長選がはじまったところだった。あたしは、おばさんが住みこみで働くレストランのウェイトレスの仕事、町長選の選挙運動に大奮闘する。 魅力的なヒロインだ。まだ十代なのに、ウェイトレスとして、プロ意識をもち、大人顔負けの仕事ができる。選挙運動でも、人の話をよく聞き、自分の思いを自分の言葉で話すことができる。素直で率直だ。母さんに置いていかれた心の傷は深くて今もうずくし、悲しい思いもたくさんしている。でも、いつまでもぐじぐじいわず、若々しいまっすぐな目で現実を見つめてがんばる。そのエネルギッシュな姿は見ていて気持ちがいい。 ホープを支えるアディおばさんも素敵だ。ホープの母親を決して悪くいわず、ホープが大切な母さんと思えるように心を配っている。おばさんの賢い言葉と愛情があってこそ、ホープはまっすぐに育ったのだろう。 また、レストランのオーナーは、ホープに、今の現実を誠実に生きることの大切さを身をもって教える。 ホープやこうした人たちを見ていると、生きていれば辛いことや不条理なことはいっぱいあるけれど、心配しなくても大丈夫。現実のなかにきっと希望はみつかる。そこで最善を尽くせばいい、という気がしてくる。 さて、この物語で興味深いのは、高校生が選挙運動に参加することだ。高校に「自由な政治活動をめざす生徒連合」という部活まであって、選挙運動の中心になって奔走する。若い情熱が人々の心を動かしていく様子はたのもしい。日本とは事情が違うだろうが、社会に目を向ける彼らが、日本の高校生よりずいぶん大人に見える。 ほかにも、レストランで働く人たちのこと、アディおばさんのつくる料理のことなど、読みどころがぎっしり詰まっている。心に響く言葉もあちこちにある。読み返すたびになにか発見し、励まされる本になるだろう。 ☆メープルストリート紹介ページ ttp://www.litrans.net/maplestreet/p/sakuhin/index.htm ☆作品社HP ttps://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/ *上のURLへ飛ぶときは、 コピーして頭に h を加えてください。 ちゃぴ(WYN-1026) <ZonchBrowserPro@catv-218-228-85-152.ctk.ne.jp> |