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 ▼【新刊読み物】タイムトラベラー  ぐりぐら(WYN-1039) 08/3/25(火) 14:11

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 ■題名 : 【新刊読み物】タイムトラベラー
 ■名前 : ぐりぐら(WYN-1039)
 ■日付 : 08/3/25(火) 14:11
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   タイムトラベラー(邦訳読み物)"Gideon the Cutpurse"
 リンダ・バックリー・アーチャー作/小原亜美訳/ソフトバンククリエイティブ/2007.12
★2007年 ブランフォード・ボウズ賞特別推薦


 ピーターは、その日、とてもやりきれない気持ちだった。父の仕事の都合でずっと
延期されていた誕生日の「おでかけ」を、またしても父の急用で延期されたからだっ
た。父親にとって、自分は一体いかほどの存在なのだろう、という疑問が頭から離れ
ない。そんな気持ちを抱いたまま、オウペアに連れられて行った郊外で、ピーターは
偶然ある機械の持つ力に巻き込まれてしまう。その機械は反重力マシン。偶然働いた
予期せぬその力によって、ピーターは、その日出会ったばかりの少女ケイトとともに、
18世紀のイギリスに送り込まれてしまう。果たしてふたりは、21世紀に戻ってこられ
るのだろうか。


 この作品の魅力は、まずタイムマシンで過去にさかのぼること。これは人類の見果
てぬ夢だといえよう。そして、ふたつめの魅力は、さかのぼった先が18世紀のイギリ
スだということ。現代人である子どもたちの目は、パンについている焦げたゾウムシ
を見逃さず、鼻は、お風呂に入っていない体のにおいをかぎつける。そして、飢えを
しのぐためにたった1切れのパンを盗んだことで絞首刑にされる現実を見せつけられ
る。なにもかもが21世紀とはまるで違う。その落差に、読者もくらくらするのではな
いだろうか。そして、3つめにして最大の魅力が、ふたりの子どもたちの話を信用し、
命をかけて助けてくれるギデオンという青年の存在だ。ピーターたちに対する友情や、
自分の命を助けてくれた恩人に対する忠誠心など、ギデオンの「生きる姿勢」がすば
らしいのだ。なにをしても誠に粋なのだ。そんな彼に支えられ、ピーターとケイトは、
今を精一杯生き、家族を忘れず、仲間を信じて運命と闘う。幸いにも、この作品は3
部作とのこと。続きを読みたくてたまらないのは、わたしだけではあるまい。

ぐりぐら★WYN-1039

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