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 ▼【新刊読み物】ひとりぼっちのエルフ  蒼子 06/1/13(金) 14:20

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 ■題名 : 【新刊読み物】ひとりぼっちのエルフ
 ■名前 : 蒼子
 ■日付 : 06/1/13(金) 14:20
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   『ひとりぼっちのエルフ』 シルヴァーナ・デ・マーリ作 荒瀬ゆみこ訳 早川書房(2005.12)
"L'ULTIMO ELFO" by Silvana Illustrazioni di Gianni De Conno 2004

【あらすじ】
 エルフやトロールとともに人間が暮らす異世界。長い雨が続き、またダリガーという都市の支配者の圧制によって人々の暮らしは貧しかった。エルフは迫害され人間から隔離された地においやられた。長雨の影響でとうとうエルフの地も水没した。最後のひとりとなったエルフのヨーシュは、エルフの地を出て人間の男女と知り合う。なりゆきで野営をした3人はダリガーの兵士に見つかり、捕らえられてしまった。そして、エルフをかくまったとして、絞首刑を言いわたされ地下牢へ入れられた。エルフの力で地下牢から逃げ出す際に、ヨーシュは古代の建造物に書かれた予言を読んだ。無事地下牢から脱出した3人は、その予言に導かれて最後のドラゴンをさがしにいく。

【感想】
 第一部は、最後のドラゴンを見つける予言の前半が成就されるまでが描かれる。第2部はそれから13年後のお話。第1部で読むことができなかった、予言の後半の運命が繰り広げられる。情景描写が美しいと思ったら、すでにミラマックス社により映画化も決まっているとのこと(訳者あとがきより)。イラストも印象的。
 エルフといっても生まれたばかりの子どもで、人間たちとの会話のずれがおもしろい。ヨーシュの使える魔法は、小さな生きものを生き返らせたり、火をつけたりといったこと。それでも魔法だけでなく勇気をもって難局をきりぬけてながら成長していく姿は、読んでいて気持ちよかった。
 登場人物のひとりが、後悔にさいなまされているヨーシュに向かってこういう。「われわれは、われわれ自身の行動に責任をもてばいい。それ以外のことに責任はないんだよ。」自分のせいではないのに、くよくよ思い悩むより、責任を持っていまを生き抜くことの大切さを教えてくれる。前向きに生きていく力がわいてくるようなファンタジーだった。
 続編 "L'ULTIMO ORCO" が昨年出版されたとのこと。あらたな真実があきらかになるとのことなので、邦訳楽しみです。

【参考サイト】イタリア語(読めない〜)
Silvana De Mari
http://www.infinitestorie.it/frames.speciali/speciali.asp?ID=299
http://www.zam.it/home.php?id_autore=781

表紙・挿絵 Gianni De Conno(ジャンニ・デ・コンノ)
http://www.associazioneillustratori.it/presidenti/decon.htm
http://www.associazioneillustratori.it/soci/deconno/

 ** 蒼子 WYN-1031 **

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