Page 500 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【新刊読み物】『シドニーの選択』 ぐりぐら★WYN-1039 07/6/29(金) 10:21 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【新刊読み物】『シドニーの選択』 ■名前 : ぐりぐら★WYN-1039 ■日付 : 07/6/29(金) 10:21 -------------------------------------------------------------------------
『シドニーの選択』 マイケル・ド・ガズマン作/来住道子訳/草炎社 2007.03 自分には居場所がない、12歳のシドニーはいつもそう思っていた。両親は離婚し、 再婚した母と一緒にシアトルで義理の父や兄と暮らしているが、折り合いが悪く、し ょっちゅうロサンジェルスに住む実の父親の元に避難する羽目になる。だが、実の父 親も、自分が生きるだけで精一杯。息子を愛しているが、思いやる余裕はない。どち らの家にも希望を見いだせないシドニーは、アメリカ大陸縦断のバスに乗り、一路ニ ューヨークを目指すことにした。バスで様々な人と出会い、そのたびに偽名を使い、 「別の自分」を作り上げて話をするシドニー。果たしてシドニーは、「居場所」を見 つけることができるのだろうか。 【感想】 両親が離婚し、どちらと住むか選択できず両方の家庭を行き来する羽目になる、と いう設定は英米の児童書では割とみかけるものだ。実際こういうケースが多い証拠と もいえる。親の都合で選択を迫られるということは、選択肢があるように見えて、実 は選択肢がないということでもある。片方を選べば片方が傷つく、そんなわかりきっ ていることを選択せよと迫られても、子どもは困るだけだ。子どもは親が思う以上に、 大人なのだから。心の平穏を求めて、シドニーが最後に出した結論。「うまくいくよ、 シドニー!」と背中に声をかけたくなった。 ぐりぐら <ZonchBrowserPro@eaoska231226.adsl.ppp.infoweb.ne.jp> |