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 ▼【カ】Tamar  anya 06/7/10(月) 13:04
   ┗Re:【カ】Tamar  ケンタ(WYN-1038) 06/7/18(火) 15:19
      ┗Re^2:【カ】Tamar  anya 06/7/19(水) 9:47
         ┗Re:Re^2:【カ】Tamar  ケンタ(WYN-1038) 06/7/22(土) 22:51

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 ■題名 : 【カ】Tamar
 ■名前 : anya
 ■日付 : 06/7/10(月) 13:04
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   もうすぐ発表だから早くアップしないとと思っていたら、発表の日を勘違いしていて、すでに発表されてしまいました^^;

Mal Peetは前作"Keeper"のときから気になっている作家なので、うれしいのはうれしいですが、受賞はないだろうなあ〜と勝手に思っていたので、ほんとうにびっくりしています。

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"Tamar" by Mal Peet
Walker Books 430pp
ISBN: 0744565707
2005

1979年ロンドン、ウィリアム・ハイドは息子ジャンに、もうじき生まれる子ども(女の子)にタマールと名づけてはどうかと提案した。タマールとは川の名だが、ハイドが戦時中SOE(Special Operations Executive)にいたときのコードネームが由来だった。
それから16年後の1995年、ウィリアムはバルコニーから転落して亡くなった。孫娘のタマールは、訃報記事を読んで、今まで知らなかった祖父の一面を知った。
祖父は戦時中SOEのエージェントで、オランダのレジスタンス運動にかかわっていたが、裏切りにあってナチスに襲われたところを、ひとりの女性を助けて逃げて生き延びたのだった。その女性が、のちに妻となったマリケ、タマールの祖母だ。祖父は英雄だった。
7年前の父の失踪以来、両親よりも、祖父母と親しく暮らしてきたタマールは、自ら命を絶ったように思われる祖父が許せず、祖父が自分に遺した箱をようやく開ける気になったのは、3ヶ月後のことだった。
箱には、戦時中のオランダの身分証、2人の若者の写真、暗号のようなものが書かれたシルクのハンカチ、タマール川流域の地図が入っていた。祖父はなにかを解き明かしてもらいたがっている。そう直感したタマールは、祖母側の親戚にあたるオランダ人青年ヨーヨーとともに、コーンウォール地方のタマール川をたどる旅に出発した。

90年代の英国で祖父の謎を追うタマールの物語と、1944〜45年にオランダでレジスタンス運動にかかわった2人のSOEエージェントの青年の物語が交互に語られ、二段構えで過去の秘密が解き明かされる構成になっている。
戦時中の部分は、歴史的背景を知らないとむずかしいところもあるが、終戦間際の情勢、レジスタンス運動の実情が丁寧に描かれている上、その時代を生きていた人々の日常や心の動きまでが語られていて、いつしか当時のオランダにタイムスリップしたような感覚を覚えた。
現代の部分では、祖父の謎だけでなく、タマールの父の失踪、祖母の痴呆、祖父の自殺?と、家族の問題もとりあげられていて、考えさせらることが多い。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、戦争の傷跡が50年後にまで深く残っていることを改めて感じ、胸が痛くなった。希望をもたせる終わり方ではあることが救いだろうか。

ただ、戦時中のオランダと現代を舞台に、祖父の過去の秘密を探る孫の物語ということで、ついつい『二つの旅の終わりに』と比べてしまった私は、謎の追い方という点で、この作品には物足りなさを覚えた。なので、受賞はどうかなと思っていたんですが……相変わらず、見る目がないわあ(涙)。

anya(WYN-2045)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:【カ】Tamar  ■名前 : ケンタ(WYN-1038)  ■日付 : 06/7/18(火) 15:19  -------------------------------------------------------------------------
   anyaさん、こんにちは!

 わたしも読み終わりました。少女タマールの謎解きが主かと思っていたら、レジスタンス活動の話が中心で、そのせいか『二つの旅の終わりに』に比べて暗い感じがしました。戦時下の行動について理由を求めても、多くの人は「あの時は戦争だったから」としか答えられない、だからこそ、戦争をしてはいけないんだと思いました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re^2:【カ】Tamar  ■名前 : anya  ■日付 : 06/7/19(水) 9:47  -------------------------------------------------------------------------
   ケンタさん、こんにちは!
ケンタさんもお読みになったんですね。

戦時中のオランダの話はとてもよく描かれているとは思うのですが、タマールの謎解きはその後追いという感じで、物足りなかったですね。最後の最後の謎解きのところはちょっと急ぎすぎという感じもしました。

戦時下の行動がその後の人生にどんな影を落としたかについては、直接的な表現はないながらも切々と伝わってきました。ネタバレになるので詳しくは書けませんが(だれとだれがどう苦しみ、だれが許しを請い、だれは許せなかったか、などなど)。

anya

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:Re^2:【カ】Tamar  ■名前 : ケンタ(WYN-1038)  ■日付 : 06/7/22(土) 22:51  -------------------------------------------------------------------------
   anyaさん、

 そうなんですよね〜。真相については途中で薄々と気づいてしまったし、TamarもYoyoも個人的には興味をそそられるキャラクターだったので、もうちょっと謎解きを楽しみたかった感じです。

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