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 ▼【新刊読み物】不思議の穴に落ちて  蒼子(WYN-1031) 06/6/1(木) 16:16

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 ■題名 : 【新刊読み物】不思議の穴に落ちて
 ■名前 : 蒼子(WYN-1031)
 ■日付 : 06/6/1(木) 16:16
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   『イングリットの謎解き大冒険 不思議の穴に落ちて』 ピーター・エイブラハムズ作 奥村章子訳 ソフトバンク クリエイティブ(2006.04)
"Down The Rabbit Hole An Echo Falls Mystery" by Peter Abrahams 2005

【あらすじ】
 イングリットは13歳の中学生。ある日母の迎えが遅れたためサッカーの練習に遅刻しそうになり、歩いてグラウンドに行こうとした。ところが、普段は車でしか移動したことがないため、見知らぬ通りに入り迷子になってしまう。そんなイングリットに声をかけ、タクシーを呼んでくれたのは、変わり者といわれていたケイト。イングリットは、迷子になったことやタクシーのことを両親にはだまっていた。
 ところが、翌朝そのケイトが他殺体で発見されたとのニュースが流れた。驚くと同時に、自分の名札付きサッカーシューズをケイトの家においてきたことに気がつく。夜中にひとりでこっそりケイトに家に忍び込み、シューズを取りもどしたが、そこで怪しい男を目撃した。やがてケイトの近所の住人が逮捕されるが、イングリットは、自分が目撃した怪しい男が犯人ではないかと調査を始める。

【感想】
 イングリットは、夜中に殺人現場にしのびこんだり、逮捕された容疑者の家にしのびこんだりと、中学生にしては大胆な行動をするので、はらはらしてしまう。なにしろシャーロック・ホームズの大ファンで、作中で何度もたくさんのホームズの言葉が引用される。ホームズの名にふさわしい冒険譚といえるだろう。
 そしてタイトルからもわかるように『不思議の国のアリス』も重要な要素となっている。イングリットはサッカー・チームのほかに、地元の劇団にも入って女優をめざしている。そこで「アリス」を上演することになり、オーディションをうけて、主役を射止めたのだ。実は殺されたケイトも昔この劇団に所属していたことがわかり、劇団も事件に絡んでくる。
 事件を追いながら、高校生の兄との関係や、共働きの両親との関係もうまく描かれていて、YAとしても読み応えのあるものとなっている。祖父をはじめとする、まわりの大人たちが、なかなかくせものだ。3部作になるそうなので、今後こうした大人たちの過去があきらかになっていくのだろうか。
 2005年度MWA賞(エドガー賞)YA部門候補作
 2005年度アガサ賞児童書及びヤングアダルト部門受賞作

 ** 蒼子 WYN-1031 **

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