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 ▼【未訳読み物】Harry Sue  tommy(WYN-2085) 06/5/13(土) 14:56

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 ■題名 : 【未訳読み物】Harry Sue
 ■名前 : tommy(WYN-2085)
 ■日付 : 06/5/13(土) 14:56
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   "Harry Sue"
by Sue Stauffacher
Alfred A. Knoph, 2005.6 ISBN 0375832742

ハリー・スーは11歳。将来の夢は、母の入れられている刑務所に入って一緒に暮らすこと。そのために、鋼のような心を持つべく日々努力しているが、どうもうまくいかない。ハリー・スーのやわな心は、誰か弱い者が傷つけられているのを見ると我慢できない。だから、祖母の施設に昼間預けられている子たちがひどく虐待されないように、できるだけ目を光らせる。海に落ちて寝たきりになった友達のところへ足しげく通う。意地悪されて仕かえししたいと思っていた級友の命を、まっさきに助けてしまう。こんなことをしていたら、いつまでたっても刑務所にはいけそうにない……。

「ねえ、フィッシュ、あんたたち、耳の穴かっぽじって、よーくききなさいよ」獄中にいる母のもとを目指しているだけあって、ハリー・スーの一人称による語りは、冒頭からjoint jive(刑務所で使われる隠語)満載だ(例えば、上記の『フィッシュ』は、「新入りの囚人」を意味する)。母が刑務所に送られてから七年あまり、その間ずっとスーは、性悪な祖母のもとで、愛情を受けずに育ってきた。そんなスーの心の支えは、昔、母が読み聞かせてくれた、「オズの魔法使い」の物語。「オズ」のドロシーと同じように、ハリー・スーは、本当の「家」を見つけられるのだろうか。

 joint jive まじりの英語(Conglish)で書かれていることと、描かれている状況がかなりハードなので、子ども向けの本(アマゾンによると9〜12歳対象)として読むには、ちょっとキツすぎるかなと思ったりもしますが、その分、胸に響いてくるものも大きかったです。
ちなみに、joint jiveについては、本編に入る前に数ページのglossaryが設けられていて、思わず「助かった〜」と胸をなでおろしました。親切な作家さんです(でも、ラスト・ネームの"Stauffacher"、発音がわからない)。


tommy(WYN-2085)

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