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 ▼【新刊読み物】『リヴァイアサン――クジラと蒸気機関』  えみりい(WYN-0041) 12/2/17(金) 11:04

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 ■題名 : 【新刊読み物】『リヴァイアサン――クジラと蒸気機関』
 ■名前 : えみりい(WYN-0041)
 ■日付 : 12/2/17(金) 11:04
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    2010年ローカス賞YA部門受賞作です。


『リヴァイアサン――クジラと蒸気機関』
スコット・ウエスターフェルド作
小林美幸訳
早川書房 2011.12
〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉第1回配本作品。


 1914年、オーストリア=ハンガリー帝国の大公夫妻が暗殺された。いわゆるサラエヴォ事件である。現実の世界で第1次世界大戦のきっかけとなったこの事件から物語は始まる。この物語の世界はクランカーとダーウィニストというふたつの勢力に二分されていた。ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国らクランカーが機械文明を発展させたのに対し、イギリス、フランス、ロシアらダーウィニストは日常生活から大型兵器にいたるまでありとあらゆる役割をになう新たな生命を遺伝子工学により次々と生みだしている。そしてこの世界でもやはり、サラエヴォ事件を機に世界は一大戦争へと突入していく。
 主人公は、暗殺された大公夫妻のひとり息子アレックと、幼い頃から空に憧れ、性別を偽って英国海軍航空隊に入隊した少女デリン。陰謀に巻きこまれたアレックは、両親を遠いサラエヴォで失ったその夜に、わずかな家臣とともに城を脱出する。デリンは入隊試験で思わぬ事故に遭って、飛行獣に吊り下げられたままひとり空の上を漂流するはめになり、それがもとで巨大水素呼吸獣リヴァイアサンの乗組員となった。敵どうしのふたりがどこでどう出会うのかは、ぜひご自分の目でたしかめていただきたい。

 クランカーの重厚な歩行兵器も悠々と空を行く巨大飛行獣もいずれ劣らぬ迫力で、SFファンならずとも胸がわくわくしてきます。純粋でまっすぐなアレック少年と、男まさりでべらんめえ口調だけど、どこか女の子らしい繊細さも持ち合わせたデリンがはなつみずみずしい若さと生命力が、戦争という暗い背景の中、さわやかに感じられました。邦訳の装丁は美しくかっこよく、原書と同じ挿絵がふんだんに入っているところもうれしいです。

 3部作の第2巻、2011年ローカス賞YA部門ファイナリスト、"Behemoth" の邦訳は6月刊行予定。

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